2014年3月22日土曜日

J.S.ミル,竹内一誠訳『大学教育について』内容まとめ。

こんばんは、武藤です。

やはり実家は落ち着きます。落ち着きすぎて今ひとつ勉強が捗りませんが、これに関しては東京にいてもだいたい同じなので、特に環境の違いというわけでもなさそうです。とりあえず、春休みも残り僅かですが、ある程度英語の勉強だけは継続して続けていきたいですね。英語に関してはどう転んでも今後必要になるスキルですが、これまでの学校生活の中でもそれほど得意でもなかったこの科目をいまさら独学で始めてみても、正直な所イマイチ面白さが感じられず…ちょっとだけ辛いですがそうも言っていられません。やるだけのことはやりましょう。

さて、昨日あたりからぼちぼちJ.S.ミル,竹内一誠訳『大学教育について』(岩波文庫,2011年)を読み進めています。文庫自体は180ページほどしかない本ですが、読んで見た限りでは、J.S.ミルの大学教育に関する視点・問題意識がしっかりと述べられているテキストだと思いました。私はまだ「2 文学教育」の章を読み終えたところですが、ここまでの内容で印象に残った点などを個人的にまとめてみようと思います。

まず第一にJ.S.ミルが問題意識を持っていた点として、大学という機関の「役割」という論点を挙げられると思います。J.S.ミルは、大学という機関について、「職業教育の場」(J.S.Mill,竹内訳 2011:12)ではないとする立場を明確にします。J.S.ミルによれば、大学という教育機関は確かに専門的な知識の教授を行う場ではありますが、それら専門的な知識は、何かしらの職業に就いて生計を立てるためのツールであるとは考えません。J.S.ミルは、そういった専門的な知識を教授することを通じて、「有能で教養ある人間を育成する」(J.S.Mill,竹内訳 2011:12)ことを目的として想定します。

もちろん、例えば現代日本の大学における医学部での教授内容は、一般的に「医者」と呼ばれる職業において必要になる知識と一定の共通性があり、法学部での教授内容は、一般的に「弁護士」と呼ばれる職業などにおいて必要になる知識と共通性を持つでしょう。しかし、だからと言ってそれらの知識をただ職業のためのツールとして使用することに対してJ.S.ミルは否定的な立場を示しました。
この点においてJ.S.ミルは、大学において教授される専門的な知識を、正しい方向へ利用し正しい方向へ深化させていくことができる能力を獲得するためのツールとして考えます。この能力をJ.S.ミルは「一般教養(general culture)」と表現しました。つまり、大学で得た知識をそのまま利用しているだけの医者や弁護士はJ.S.ミルから言わせれば「無能」であって、大学で得た知識に対して自らの考え・発想をもってより深く考察し、その真理に近づこうとする姿勢を兼ね備えた医者や弁護士こそ「有能」であると考えます。そしてそういった「哲学的」な姿勢を身に付けるということこそが、大学という機関の「役割」であると考えました。

しかし、もし大学にそういった役割があるならば、大学という機関で教授されるべき知識とはどういったものがあるのかという大学教育の「領域」に関する問いが生じます。その役割を十分に果たそうと考えたとき、あまりにも初歩的なことばかり教授していたのでは、学生は理想的な「哲学的な姿勢」を獲得する前に卒業を迎えてしまいそうです。J.S.ミルとしても、大学まで進学してきた学生に対してあまりにも初歩的な内容を教授することは無意味であると考えていたようです。

そこでJ.S.ミルは、大学において学生が学ぶべきことは「知識の体系化」(J.S.Mill,竹内訳 2011:15)であると考えました。つまり、大学での教育により得る様々な領域、分野にわたる知識をそれぞれ相互に関連付けて、必要な物を取捨選択しながら自らの持つ知識全体を見渡す見取り図を作り上げるという営みこそ、学生が大学において為すべきことであるとJ.S.ミルは考えました。その意味でJ.S.ミルは大学を知識の教授の場ではなく「知識の哲学を教える機関」(J.S.Mill,竹内訳 2011:16)として想定していると私は考えました。しかし、大学をそういった位置づけで考える場合に関して、またひとつの問題が生じます。つまり、「知識の哲学」を教授する前段階として、教授される側の学生がそれに見合うだけの「知識」を持っていることが確認できなければ教授する意味がないのではないかという問題があります。その点においてJ.S.ミルは少なくともスコットランドの大学システムは、そういった点に着目する限り優秀なシステムを持っていると述べています。すなわち、スコットランドのすべての大学は「他の学校の不足を補うためのハイ・スクール〔上級中学校〕でもある」(J.S.Mill,竹内訳 2011:17)という特徴に他の国家に見られない優位性があると考えたようです。

とりあえず今回はここまでで。続きはまた今度書きます。


・参考文献
J.S.Mill『大学教育について』(竹内一誠訳,岩波文庫,2011年).


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